15.2 化学、薬学と生理学
研究の計画と立案への確実なアプローチは、いくつかの領域で大麻の作用の理解を向上させる。たとえば薬理学的研究は、大麻製剤の種類がヒトと動物にどの程度まで違った影響を及ぼすかについて理解するために必要である。単に一回の服用の影響を調べるよりはむしろ、用量反応関係を解明することに注意を払う必要がある。大部分の作用の用量反応関係が、異なる種の間でどのように変化するかについてより多くの情報が必要である。1種類の定められた毒性について動物のどれぐらいの用量がヒトのどれぐらいの用量に相当するか、2つの種の研究において比較を確実にするために更なる研究が必要である。
ヒトの生理学において大麻の作用に関するいくつかの重要な研究問題は、あいまいなままである。たとえば、大麻の食欲増進薬としての働きや抗嘔吐作用は、知られていない。もう一つの高い優先事項は、内在性カンナビノイドシステムの生理的役割を確認することである。また、いくつかの将来的な研究は、内在性カンナビノイドとグルココルチコイド(副腎皮質ステロイド)の間で特定の相互作用が起こるかどうかについて確証することに向けられなければならない。これには、化学者、神経化学者と分子生物学者による多面的な努力を必要とする。方策は、追加的な内在性カンナビノイドの同定、選ばれた薬理特性によるアナログの合成と遺伝子操作をしたカンナビノイドレセプターが欠けている実験動物の発生を含む。内在性カンナビノイドシステムが神経伝達物質システムの全ての必要条件を満たすかどうかについて明らかにすることが必須である。
血液や他の流体中のTHC濃度と引き起こされる行動異常の程度との関係を測定するいくらかの努力がなされている。この作業は難しいけれども、努力は濃度―効果関係をアルコールのためにされたのと同じくらい明確に定義することを目的として続けられなければならない。
大麻使用によるパフォーマンスエフェクトに敏感な、特定の日常の機能の複雑さを反映する(すなわち、運転、学習、論理的な思考)、比較対照試験のための、認知的、精神運動性のテストの更なる発展は同様に付加的な研究を必要としている。