◆ 15.将来の研究のための推薦
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15.将来の研究のための推薦

身体的、精神的な機能への大麻の影響に関する情報は使用の範囲とパターンに関する知識のように大いに増加している。 しかしながら、まだ、さらなる研究の必要が人間の健康への影響に関する臨床的、疫学的な研究、化学と薬理学、そして、カンナビノイドの治療的な使用の研究を含むいくつかの重要な領域にある。 そのうえ、大麻使用の健康への影響の結果に関する知識には重要な相違がある。 さらなる調査のための最も差し迫った問題点が以下へまとめられる。

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15.1 臨床的、疫学的な研究

特に発展途上国における大麻使用と結果として起こる問題のパターンに関する、より多くのデータの必要がある。 そのような調査はこれらの国での単純化された比較可能な方式の集積データ、異なった国で集められた情報を比較することができるようなより大きな使用能力の利益を得るであろう。 わずかな国にしか、大麻使用のパターンのコホート研究がなく、それは大麻使用の博物学と消費のすべてのレベルでの大麻使用の始まりと中止の理由を評価するために重要なものである。また、大麻問題、アルコールおよび他の精神活性物質の使用に関する問題を持つ人と持たない人の経験を比較する症例対照研究の必要性もある。


大麻使用と統合失調症(精神分裂症)や他の重大な精神障害との関係を調査する比較対照試験の必要性がある。 特に、統合失調症患者の人々に、大麻使用の中止が彼らの治療の結果を改善するかどうかを見る介入研究の必要性がある。


大量の大麻使用から生じるかもしれず、生じないかもしれない無動機症候群では不十分な研究しか引き受けられていない。たとえ大量の大麻使用が時々学校や仕事において成功への減少した動機に関連しているとしても、そのような症候群が存在するのかどうか明確ではない。 また、何人かの大麻使用者で見られる減少した動機が、他の精神活性物質の使用のためであるかどうか、またそれが大麻使用にまさるかどうかを明らかにする新たな研究が必要である。 減少した動機が心理学的な問題にどう関連するかがまだ未知であり、さらなる研究を必要としている。


大麻の慢性と残留の影響の研究も必要である。人における慢性の大麻使用の薬物生体反応学は十分に記述されておらず、この知識の不足のために、血液や他の流体中の薬物の濃度と観察された影響とを関連づける研究者の能力は制限されている。


大麻依存の流行とその結果は更なる研究を必要としている主要な領域である。大麻依存症の臨床的特徴と使用者が停止するのを助けることを目的とする介入への応答の研究のためのより良い概要説明の必要性がある。


出産年齢の初期の間の高い使用率を考慮した、大麻使用者の生殖力への影響の更なる研究が必要とされている。不妊性の研究をしている研究者は、大麻使用の影響を調査することを奨励されるべきである。それに加えて、子宮内で受ける問題の重要性を考慮し、特に早産児の胎児性代謝のより多くの研究が必要である。もう一つの優先事項は、母親の大麻使用と小児期ガンの症例対照研究の反復である。


呼吸機能と呼吸器疾患に関する大麻の影響の更なる臨床的、疫学的調査が必要とされている。大麻が肺の悪性腫瘍の危険性に影響を及ぼすかどうか、そして、それが使用のどんなレベルで起こるかもしれないか示すためにより多くの研究が必要である。それに加えて、動物とヒトの肺組織病理研究のむしろ別の結果をはっきりさせるために、より多くの研究が必要である。


大麻の免疫学的機能での影響のより臨床的で実験的な研究が必要である。将来の研究は、カンナビノイドによって誘発された免疫制御と病原菌や腫瘍に対する変えられた宿主抵抗性の関係を確立し、宿主免疫や正常な免疫反応の制御においてカンナビノイド受容体の役割を調査することを目的としなければならない。カンナビノイド受容体と非受容体イベントを含む、免疫作用の原因である分子構造に関してより多くの明瞭さもまた捜されなければならない。


慢性の大麻使用が心血管系に不都合な影響を及ぼすという可能性は疫学的な機能において優先するようにしなければならず、大麻の喫煙は心血管疾患の深刻な危険として知られているタバコの煙と性質的に類似していることが知られている。1970年代初期に使用を始めた大麻使用者の一群が現在心血管疾患の最大の危険な時期に入っているという事実は、心血管疾患と大麻使用の症例対照研究を実行することがタイムリーであることを示唆する。


しばしば、大麻使用の危険性は、アルコールやタバコ等のような他の薬物と比較される。しかし、大麻使用の健康への危険性を評価する科学的知識は、これらの精神活性物質の上で行われた膨大な研究と比べて、該博でなく確実ではない。それに加えて、適切な比較を可能にするための、事故やその他の原因による大麻関連の死亡の研究は不十分なものしかない。大麻と他の薬物のより相対的な疫学的研究が、これらの物質に関連する死亡と疾患の危険性を使用の異なるレベルで評価するために必要である。

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15.2 化学、薬学と生理学

研究の計画と立案への確実なアプローチは、いくつかの領域で大麻の作用の理解を向上させる。たとえば薬理学的研究は、大麻製剤の種類がヒトと動物にどの程度まで違った影響を及ぼすかについて理解するために必要である。単に一回の服用の影響を調べるよりはむしろ、用量反応関係を解明することに注意を払う必要がある。大部分の作用の用量反応関係が、異なる種の間でどのように変化するかについてより多くの情報が必要である。1種類の定められた毒性について動物のどれぐらいの用量がヒトのどれぐらいの用量に相当するか、2つの種の研究において比較を確実にするために更なる研究が必要である。


ヒトの生理学において大麻の作用に関するいくつかの重要な研究問題は、あいまいなままである。たとえば、大麻の食欲増進薬としての働きや抗嘔吐作用は、知られていない。もう一つの高い優先事項は、内在性カンナビノイドシステムの生理的役割を確認することである。また、いくつかの将来的な研究は、内在性カンナビノイドとグルココルチコイド(副腎皮質ステロイド)の間で特定の相互作用が起こるかどうかについて確証することに向けられなければならない。これには、化学者、神経化学者と分子生物学者による多面的な努力を必要とする。方策は、追加的な内在性カンナビノイドの同定、選ばれた薬理特性によるアナログの合成と遺伝子操作をしたカンナビノイドレセプターが欠けている実験動物の発生を含む。内在性カンナビノイドシステムが神経伝達物質システムの全ての必要条件を満たすかどうかについて明らかにすることが必須である。


血液や他の流体中のTHC濃度と引き起こされる行動異常の程度との関係を測定するいくらかの努力がなされている。この作業は難しいけれども、努力は濃度―効果関係をアルコールのためにされたのと同じくらい明確に定義することを目的として続けられなければならない。


大麻使用によるパフォーマンスエフェクトに敏感な、特定の日常の機能の複雑さを反映する(すなわち、運転、学習、論理的な思考)、比較対照試験のための、認知的、精神運動性のテストの更なる発展は同様に付加的な研究を必要としている。

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